マシンルームレスエレベーターの保守部品生産終了
ここ最近(1か月の間)、エレベーター機械室のないタイプのエレベーターのリニューアル工事の問い合わせが急増しています。
築25年程度以下の乗用エレベーターはこのタイプが設置されている可能性があるのですが、普段の生活で見た目やエレベーターに乗っただけでは分別が尽きません。最上階の屋上から少し立ち上がった位置に扉があり、階段がついている小屋があればそこがエレベーター機械室ですが、普段屋上へは上がれないように階段の手前の扉は施錠されているので立ち入ることはできません。油圧式の場合は最下階(1階か地下1階等)のエレベーター乗場付近に「エレベーター機械室」と貼られた扉があれば、そこが油圧式エレベーターの機械室になります。
以上2点のどこにもそういった部屋、小屋はなく築25年以下ならほぼマシンルームレス型エレベーター(機械室レス型とも言ったりしています)と推定できます。
そのマシンルームレス型エレベーターの部品供給が年内とかで終了してしまうのでリニューアルしなければ故障対応、復旧ができなくなるのですが、設置した製造会社しかマシンルームレス型エレベーターのリニューアル見積対応が出来ないのでどうしたらいいのか?といった相談が非常に多くなってきているのです。
マシンルームレス型エレベーター概要
1999年、2000年以降に竣工したマンション、ビルの乗用エレベーターはほぼどこのメーカーも建物設計レイアウトにエレベーター機械室がいらないマシンルームレス型エレベーターを納入、設置されてきました。
建物設計者からするとエレベーター機械室にはエレベーター関係以外の設備、構造物は設置してはいけないので、出来るだけそのスペースを削って他のスペースに利用できる設計が出来るのか?全くなければそれに越したことがないので急速に市場に広まっていきました。
エレベーターがこの世の中に誕生して一番大きな技術革新がこのマシンルームレス型の開発、誕生と言えます。
今まで、4,5m四方のスペースに巻上機、制御盤等を安全な点検スペースを持たせてレイアウトしていたのが、かごが昇降するスペースに収まってしまうくらいに省スペース化が図られたのですから大きな進歩でした。
機械室有のエレベーター制御盤、巻上機の1/3,1/4以下の薄型でコンパクトな機器を昇降路内部壁面、エレベーターピットにレイアウトされています。
実は、同じマシンルームレス型エレベーターでも、大きく3種類のタイプに分かれます。
巻上機と制御盤が昇降路内部のどこに設置されているのかが基準になるのですが、各メーカーによって最下階の床下ピットなのか、少し高く上がった位置の最下階フロアレベルの高さなのか、最上階の頂部なのかによって分類されるのです。
初期型タイプはエレベーターピット(最下階床下の点検、安全装置内蔵のスペース:深さ1250~1850mm程度)の地面に巻上機を設置していましたが、エレベーターで最も主要な機器である巻上機が建物浸水被害で床下、床上浸水した場合に甚大なダメージとなる事から数年で、改良モデルチェンジとなりその地面から2、3mほど高い位置に薄型の巻上機がガイドレールに設置するタイプが開発され現在の主流となっています。
マシンルームレス型エレベーターのリニューアル見積の検討相談
前回のブログでも紹介したようにエレベーター2024年問題は深刻です。大手メーカーから独立系エレベーター会社全般に人工不足なのに、さらにマシンルームレス型のエレベーターまで対象が拡大し、ますます一般所有者、管理者はどのように検討すればいいのか?の不安感が拭えない状態かと思います。
仕方のない状況なので、メーカー一択の選択をされるのも一つの考えと思います。しかし、そうしても相見積もりが必要、比較検討材料を持って話し合いが必要な管理組合や、法人様、個人所有者様もいらっしゃるでしょう。その場合は悩まれる前にエレベーターマネージメントにご相談ください。そのエレベーターに置かれた状況、使用環境、その他についてお話をお聞かせください。何らかの打開策を模索したいと思っていますのでお気軽にお問合せください。
その際に、リニューアル工事の見積仕様、工事範囲が分かる資料と定期保守点検の報告書と建物竣工時に引き渡し書類の内のエレベーター竣工図面か、昇降機確認申請副本に確認済証、検査済証等が綴じ込まれた書類を捜索、ご確認ください。もし現地訪問とヒアリングとなった際に、閲覧させていただきたいので御準備いただければ非常に助かります。
先日も、部品供給終了の案内を受けてリニューアルの見積提案を受け、管理組合で他社との比較検討する事となった理事長がネットでエレベーター会社を隅々まで検索、問い合わせたが「機械室のないタイプのエレベーターのリニューアル見積は対応できない」と断られた。その数20社程だった、と話されていました。
その方は自営業の傍ら数週間かけて色々調べたそうで「こんなに大変だとは思わなかった。近々に理事会があるのでそれまでに見解を示したいのでなんとかしてほしい」と相談されてきました。
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