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リニューアル 保守(メンテナンス) 相談事例

特殊・特別な環境下のエレベーターのリニューアル工事検討の注意点

2024年11月2日

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様々な要因で特別扱いとされるエレベーターについて

前回はエレベーター機器そのものについての特殊、特別性について紹介しましたが、今回は若干見方、見識によっての特別な計らいが必要なエレベーターについて解説したいと思います。

前回同様、非常にレアケースな内容となりますが、本当に困っている所有者様はまさにどこに相談すればいいのか、解決策がないまま現在に至っているのではと思いましたのでぜひ参考にしてください。

築後50年以上で過去に一度もリニューアルを実施していないエレベーター

いろいろな要因で適切な時期での改修工事が実施されないままのエレベーターは予想以上に存在します。とっくにメーカー部品供給は終了して、ほとんど今ついている部品が壊れてしまうと復旧は不可能の状態ですが、奇跡的ともいえる耐久力で稼働している・・・。テナント入居率が低い雑居ビルや管理が行き届いていないマンション等に多いですが、最近は立地が良ければ投資目的でリフォームし新たに利用すると新オーナー様がそこに設置されたエレベーターをリニューアルする際に、想定以上の見積金額に驚かれるケースがあります。

一般的な制御リニューアルは大体、築30~35年で実施され、交換部位は巻上機、制御盤、電気関係となる操作盤、ケーブル類、ドアのモーター等となりますが、ドア関係が現場の状態によって違いが分かれるので、オプション扱いになります。このドア周り機器が50年以上の機構のままだと現在のドアマシンの駆動方式と合わない(マッチングしない)、さらにはそもそもここまで古いドア機構の部品が市場にないので、ドア周りを一新しなければならない事になります。

ドア機構(ドアヘッダー)交換となるとまず、乗場数(5階建てなら5か所+かごドア1=6箇所)の個数が必要になり、ドアパネルも交換になります。

金額は業者によってまちまちですが、最低でも鋼板塗装ドアパネル1か所30~40万として個数分足すと180~240万が本体工事に追加されます。

過去に経験があったのが、ドアの機構で“リタカム仕様(リタイヤリングカム)“といったドア機構があって、現在のドア駆動の方式ではリニューアルが難しく、また部品供給の問題もあるのでドア機構すべて交換するべきと判断したのですが、その事前判別が難しく見積提出後に“リタカム仕様“が発覚しオーナー様と協議の末、見積計上漏れの責をとり追加見積金額を本体工事に飲み込んで施工しました。数万円であればよくある話ですが200万円超えるとなると社内説得、調整が大変でしたが、すべて問題解決となり自分自身いい経験となったのと、何より工事の仕上がりに御満足いただいたので良かったと思っています。

ちなみに、リタカム仕様の見分け方はエレベーター起動時と着床時に“ガチャン”と金属音がするなら“リタカム仕様”の可能性が高いです。

昔の高級建物、博物館に多いらしいですが、稀にマンションも今回のようにあるので注意が必要です。

操業停止、国外撤退したメーカーが設置したエレベーター

国内設置の約90%がいわゆる5大メーカー(三菱、日立、東芝、フジテック、オーチス)が占めていると言われています。あとの10%はあまり聞きなれないメーカーになるのですが、そのほとんどが官公庁関係の建物であったり、工場や倉庫に設置されている荷物用エレベーター等になります。

そのいずれにも属さない、現在ではほとんど聞かれないメーカーとなるとすでに操業停止(倒産等)してしまって、それなりの年数は経ているものの十分な部品交換がされない(出来ない)状態のエレベーターが希少ですが存在します。こちらについてもドア機構含むフルリニューアルで一新する事により管理を継続する事となるので一般のエレベーターより、リニューアル工事金額は割高となる算段は必要です。

あと、設置当時は海外製で設置されたが、事業を国内から撤退してしまって別会社が保守を継続しているメーカーのケースがあります。

数年前にエレベーター事故を起こしてしまった会社なのですが、国土交通省から特別な点検、検査報告が要求され限られた資格のある保守員でしか、対応できない機種のエレベーターが存在します。

巻上機を含んで他社製にリニューアルすればその特別な点検、検査は工事以降必要なくなるのですが、管轄行政に工事完了の指定様式による報告書類を提出しなければなりません。もし、思い当たる所有者様いらっしゃいましたら、詳細についていろんな角度でアドバイスができるかと思いますのでお問い合わせください。

搬入経路、エレベーター機械室に問題があるエレベーター

建物周辺は交通量の多い道路に面してて、大型のトラックが駐車しての搬入作業がしにくい、地下にエレベーター機械室があり重量物が搬入作業できるスペースが狭い、搬入場所がバス停留所前等で夜間作業となり作業時間帯に制限がある、階段が螺旋階段で材料機械が階段を通過できない・・・等業者からの見積項目で工事作業費、搬入、楊重費がやたら高額(200~300万円)の場合は特別な人員と搬入機器、工具類が必要となります。

細かい事は業者に任せればいいのですが、計画、搬入方法についてはきちんとヒアリングし、近隣周辺に支障がないように確認要請する必要があります。

築50年以上で建築基準法が相当前の規定適応のエレベーター機械室への搬入経路で、現在の階段ではなく垂直タラップの現場があります。

その場合、機械室の扉大きさも狭く、現在規定では最低でも幅800㎜×高さ1900㎜必要ですが、過去に経験した現場で幅が600㎜そこそこしかなかった事がありました。新規材料機器が入らないのでエレベーターリニューアル工事に追加工事として機械室扉開口部拡幅工事と新規扉設置工事を実施する必要がありました。

あと、今後の保守メンテナンスを考えて、垂直タラップを簡易な鉄製階段設置の提案も了承いただきました。

一般的か特別なエレベーターかの認識と把握、そして相談が重要

いざ、リニューアル実施に向けて各業者に見積もり要請をかけたが、辞退されたり、やたらと高額であったり理由を聞いてもよく分からない説明をされたりなら、何かしら特別な事情があるエレベーターなのかもしれません。

転売で購入した建物なら普段立ち入らないエレベーター機械室の状況だったり、どこのメーカーなのか等気にされないでしょうし、とにかく、なぜ通常のエレベーターより高額なのか?見積辞退されるのか?実際、このような問題に直面したらどうしていいのか手立てが見いだせないと思います。そういった問題にもエレベーター専門のコンサルタントなら解決策を導くことができると確信しています。

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