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エレベーターリニューアル工事オプション仕様アンケートについて

2024年12月15日

2024 12 15

エレベーターリニューアル工事オプション仕様検討について

エレベーターリニューアルの大きな目的の一つが、将来におけるエレベーター保守管理の継続的な維持です。部品生産期限から工事実施時期、発注時期、業者選定、検討時期、長期修繕計画から予算組設定の計画を立ててそれぞれ逆算して管理組合役員、修繕委員会で複数年かけて進めていきます。さらに安全性、利便性、意匠性をグレードアップした内容をこのリニューアル工事に盛り込んでいく事も重要であり、ここ最近一般化しています。

今回、市内戸数50戸のある中低層マンションでエレベーターリニューアル工事の仕様を決定する過程でどのような追加オプション仕様を見積に盛り込むかを理事会で検討した際に、各住戸に簡単なアンケートを取って参考意見を収集しようという事になり、集計結果が先日出ましたのでここで紹介しようと思います。

私にとっても非常に興味深い結果となったので皆さんのエレベーターリニューアル工事の予算策定、仕様検討、業者決定の参考になればと思います。

アンケート内容

まず、アンケートは簡潔で、一目でイメージが伝わり、分かりやすく、応えやすい質問でないといけません。

文書で長々と書くより、イラストや写真でパッと見た感じで伝わるように作成しました。

①エレベーターエレベーター内の壁と床の内装をリフレッシュしたい

②エレベーター天井照明をデザイン仕様に交換したい

③マルチビームドアセンサー機能を新規設置した方がよい

④戸開走行保護装置を新規設置した方がよい

⑤エレベーター内と乗場の押釦の高さ位置をもう少し低くした方がよい。

大きくは、意匠性アップ、利便性アップ、安全性アップを取り入れるかの内容でした。それぞれには追加するにあたり、増額する金額も記載し、予算的な検討側面の材料も合わせて回答してもらうようにしました。

仕様説明に関しては③マルチビームドアセンサーと④戸開走行保護装置、⑤エレベーター内と乗場の押釦の高さ位置をもう少し低くした方がよい

について以下の補足説明を追記しました。

③マルチビームドアセンサー 赤外線ビーム(人体に影響はございません)装置によりドアとのぶつかり・挟まれを防止します。(赤外線にて遮蔽物を感知した後、ドア反転戸開いたします。)

多数の赤外線ビームを放つことにより、お客様だけではなく台車やベビーカー、小さなお子様にもしっかりと反応し、扉のトラブルを防止致します。

④戸開走行保護装置

挟まれ事故防止、国土交通省は設置推奨。設置義務はありませんがリニューアル工事のタイミングで全国的に既存建物でも設置検討されています。

全国設置率は既存、新設合わせて全体で34.6%

(令和4年度集計 国土交通省 戸開走行保護装置設置状況調査)

  • エレベーター内と乗場の押釦の高さ位置をもう少し低くした方がよい。

現状高さ1200mmの位置を1000mm位置に

*小さいお子様でもご利用しやすいように一般的な高さ位置より低い位置に各操作盤を設ける事が目的です。

①~⑤のアンケート項目について(・はい ・いいえ ・理事会に一任)いずれかの回答を〇で囲んで(*2週間の期限)までに管理室ポストにご投函ください。

・・・上記のように極力文章量よりもイラスト、写真中心の内容なのでブログでそのイラストなどが紹介できないのが残念ですが、私が一番懸念していた“質問内容が分からない”等、アンケートについての質疑はありませんでした。

アンケート集計結果

①エレベーター内の壁と床の内装をリフレッシュしたい

・はい 25%  ・いいえ  75%

②エレベーター天井照明をデザイン仕様に交換したい

・はい 25%  ・いいえ  75%

③マルチビームドアセンサー機能を新規設置した方がよい

・はい 40%  ・いいえ  55%  ・無回答  5%

④戸開走行保護装置を新規設置した方がよい

・はい 15%  ・いいえ  40%  ・理事会に一任  45%

⑤エレベーター内と乗場の押釦の高さ位置をもう少し低くした方がよい。

・はい 5%  ・いいえ  65%  ・理事会に一任  25%

・無回答  5%

*回答数は百分率で表記

まず、すべての項目において、“いいえ”が“はい”を上回っている事が意外でした。それぞれのオプション項目ごとに追加金額を記載した影響と思われます。

見栄えを良くする意匠関係については大差で“いいえ“が多かったのも意外でした。利用者からこのリニューアル工事が目で見て認識できるのはかご内と乗場の操作盤だけです。その他の工事箇所は屋上のエレベーター機械室だったり、昇降路の壁の内部なので見た目はほとんど分かりません。

乗り心地や走行音等については若干、スムーズになったり静かになった印象を受けますが、個人レベルの差でしかありませんので、1週間から10日間エレベーター使用停止と高額工事実施した分、見た目でイメージがガラリと変わるかご内の意匠工事を予算が許せるならお勧めしているのですが、それほどニーズがないようです。

天井デザイン仕様変更については、既存照明の標準仕様天井照明は四角い乳白色のアクリルカバーなのですが、デザイン天井にすると照度もかなりアップし暖色系のダウンライトや、直線的なライン照明のゴージャスなイメージアップが図れるのですが、構造上従来よりもかご内室の高さが低くなる側面があります。

大体の高さが2300~2200mmで、照明機器を天井から吊固定するので30~50mmの機器の厚み分高さが低くなりますがかなりイメージが変わるのですが、必要に思われなかったようです。

戸開走行保護装置については、唯一理事会に一任するが最多となった背景はやはり、重要な安全装置であり、過去に大きな事故が発生した事から、一個人の意見では判断がつかないといった要因があったと思います。

他にもいろいろなオプション仕様があるのですが、アンケート内容としては今回5項目に絞って明確な結果がでたといえるでしょう。

*過去にエレベーターリニューアル工事のオプション工事についての解説ブログを掲載しています。

エレベーターリニューアル工事に纏わるオプション関連 – ブログ | エレベーターマネージメント

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