
大手メーカー系保守会社以外のエレベーター業者でリニューアル工事を実施
ここ最近の10年でエレベーター保守専門会社、メーカーを問わず大手メーカー中心に保守をする、いわゆる独立系保守会社がリニューアル工事を受注、実施する件数が急速に増えていっています。
30~40年前から急速に保守契約のシェアを増やしてきましたが、その年代のエレベーターが軒並みにリニューアル、改修時期を迎えメンテナンスしか対応できない保守会社は存在しにくくなってきた背景があります。
メーカー系保守会社が次々と 部品供給停止を理由にリニューアル推奨の案内を現保守契約先以外にも設置製造した当時の所有者にも展開しているので、対応せざるえない状況から自社でリニューアル製品、工事部隊を編成し今では全体売り上げの30~40%をリニューアル工事の売り上げを占めている独立系保守会社の存在も聞かれます。
メーカー系保守でリニューアル工事の検討をする際に、相見積もりで独立系保守会社へ見積依頼したら、工事金額も合わせて、リニューアル工事後の保守見積金額も安かったので採用するケースが非常に多いのです。
こうして、各社それぞれのリニューアル製品構成による制御盤、巻上機が、それまで30数年間大手メーカーの機械から置き換えられて、リニューアル工事を実施した会社が保守を切り替えていく流れとなります。
最近、その数年前に大手メーカーから独立系保守会社によるリニューアル工事を実施したが、保守契約を切り替える検討をしたいので保守見積についての問い合わせが増えています。
全国展開をしている大手の独立系保守会社では、一般的には5大メーカー以外の保守契約は請け負わない方針と聞いていますが、中小規模の保守会社についても基本的には同じスタンスの対応が多いでしょう。
今回、「数年前に〇〇社製だったエレベーターを△△社でリニューアルしました。保守契約の見積をお願いできますか?」といった問い合わせを数社の独立系保守会社に依頼しても、断られるケースが多くて行き詰って困った管理組合のケースについて解説、紹介したいと思います。
独立系保守会社で実施したリニューアルはその工事会社が保守をするのが基本
メーカー系保守会社で実施したリニューアル工事の保守を独立系保守会社が、保守をするのは以前ではよくある話でしたが、最近では保守契約とセットで地震等の非常時遠隔対応装置であったり、メーカー系保守会社も保守契約については新しいラインナップを揃えた営業展開を見せています。
少なくても、リニューアル工事後1年間の製品保証があるので、慎重に保守契約については検討する事を推奨します。
さて、独立系保守会社が実施したリニューアル製品の保守についてですが、見積依頼先の保守会社が一番に懸念する事は保守部品の供給が問題なく行えるかに付きます。大手メーカーであれば市場や、各メーカーにも調達窓口があるので従来同様の手順で入手できるのですが、市場に出回っていない製品となると故障発生で部品交換が必要となってもタイムリーに手に入るかが大きな問題点となります。
あと、その製品の制御システム、部品構成等独自性が強ければ不具合対応に支障が出る可能性があります。
過去にその会社の同等機種の保守実績があるか?類似した機器の実績から応用、汎用的な対応が取れるかがポイントになります。
いわゆる本当の意味による技術対応能力があるかに因りますが、正直なところは、実際にある程度の期間を保守点検してみないと判別できないといったところだと思います。
見積段階で、その業者がそういった能力があるかなんて判断がつきませんので、その業者から現場調査した結果報告を詳しく聞き、実績から判断してある程度のリスクを想定、認識した上で金額と兼ね合わせての検討になります。
独立系リニューアルエレベーターの保守事例
- 築40年 30戸 8階建て
7,8年間に某独立系保守会社で制御リニューアル実施
戸開走行保護装置付き
ある管理会社からの問い合わせを受けて、技術員を伴った詳細な現場調査実施し、検討を重ね保守契約の切替を実施。製品構成、部品調達の問題はクリアできたのですが、リニューアル工事で戸開走行保護装置を新設しており、制御盤内のエラー表示について不明点がありましたが、管理会社経由で保守マニュアル、特に戸開走行保護装置についての開放、復旧、リセット、エラー表示について入手し現在も問題なく保守を継続実施。
- 築50年 20戸 5階建て 賃貸マンション
10数年前に某独立系保守会社で制御リニューアル実施
保守切り替え後5,6年間、特に問題、不具合なかったが、最近になって停止故障が頻発。制御系基板の経年劣化とされ、切替前の保守会社に技術的見解も含めて基板調達、取替作業実施。部品調達期間も1,2日間だった為、大きなクレームとならず復旧。
- 築40年 1,2階店舗事務所 3~11階 住居の複合用途マンション
4,5年前にリニューアル実施 昨年2月に保守切替
今年2月に2週間にわたり、連続4回の停止故障発生。確たる原因は不明。3回目故障発生時に切替前の保守会社に現場へ技術者派遣要請し、制御系の回路変更による不具合と原因特定したが、なぜ回路変更となったのか不明。回路変更、エラーリセット、その他保守作業においてメンテナンスコントローラーの必要性を問うが、現保守会社にメンテナンスコントローラーを常備しておらず、現在切替前保守会社とメンテナンスコントローラーの入手について協議中。
ケースバイケースによる要因大。慎重な判断が必要
上記の3事例については、いずれもそのエレベーター機種のメンテナンスコントローラーは所持していない条件でしたが、1,2は問題なかったが、3については致命的となった事例でした。
3の現保守会社についても、その切替前の保守会社のリニューアル後エレベーターの保守実績はあったので、対応可能と判断したのですが、年代が比較的新しく、保守マニュアルも保持しておらず、エラーメッセージの解析にしても情報量が不足していたので大きなトラブルとなっています。
この件については専門家であっても、判断は難しい分野となります。極力独立系保守会社でリニューアルを実施したら、保守の切替は基本的には対応できる会社の判別が難しい事を念頭に置いて、保守対応も含めたリニューアル工事の検討を、」個別案件に応じたきめ細かい専門家を活用する事で、不要なトラブルを未然に防ぐ事が可能となります。
初回相談、現地調査訪問は無料(近畿2府4県に限ります)