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既存建物にエレベーターの新規設置を検討されている方へ

2024年12月8日

2024 12 08

思っている以上にコストと手順と時間が必要です。

ここ最近の民泊需要や、少し都心から離れた地域で建物用途変更をかけた養護老人ホームに改築改装する大規模なリフォーム工事に合わせてエレベーターを新規増設したいといった相談が多く寄せられてきています。

エレベーターの事だから、エレベーター会社に問い合わせるのも当然なのですが、ほとんどのケースで受け付けられる事はなく、まずは、建設会社か1級建築士に問い合わせてからにしてほしいと返答されます。

エレベーターは建物の中の付属物といった存在で、その建物に見合ったエレベーターで、新たにエレベーターを設置するのに建物にどのような影響が及ぶのか?建物の構造的な検証、集団規定による建蔽、容積率の問題、リフォーム後の建物用途によってエレベーターの仕様にどういった制限が必要になるか等、むしろエレベーターよりエレベーター周辺の建物の問題を一つ一つクリアーにしていかなくてはならない為です。

私も、そういった問い合わせに幾度と対応してきましたが、エレベーター会社として最大限の見解と見積対応の経験がありますが、エレベーター会社単独でのプロジェクトでの成立はありませんでした。

官公庁主体の4,5階建ての2戸1住宅での大規模団地では階段室ごとにエレベーターを設置して一つの棟に4,6台とかはメーカー在籍時経験がありますが、民間物件でそこまでの大プロジェクトはそうそうにありませんし、そこまで敷地面積に余裕のあるマンションは少ないでしょう。

日本の建築基準法は外国と違って新築工事をベースに考えられているので既設の建物を改築、改装して長く利用していく考えが法律に盛り込まれていません。エレベーター以外にも言える事なのですが、思っている以上に既設建物を大幅に改築しようとすると多くのハードルを変えなければならないのでご確認ください。

事前相談から工事着工までに必要なステップ

まず、対象建物に関する最低限必要な書類関係が以下になります。

・引き渡し時に建設会社から施主に渡されている建築確認済証

・引き渡し時に建設会社から施主に渡されている建築検査済証

・引き渡し時に建設会社から施主に渡されている建築確認申請に添付されている建築意匠、構造関係図面関係

まず、これらの保管が無ければエレベーターを合法的に増設する事はほぼ無理に近いと言えます。

無ければ一から図面を引いて建築士に依頼してとなりますが、膨大なコストと労力、時間が必要となるので現実的ではありません。

その上で、上記3点の書類を用いて1級建築士事務所か、1級建築士事務所登録のある建設会社に相談依頼をかけます。

そこで、どういったエレベーターの使い方を考えているか、建物用途はどうなるか、その場合、どの位置にエレベーターを設置したいかと希望を伝えて上で、希望に沿った内容で設置できるのかを検討してもらいます。

建築士の方で行政確認が必要となる場合があるので、結果に関わらず設計検討業務の支払いが発生するかもしれませんので事前に確認してください。

検討の結果、可能となればそこで初めてどこのメーカーのどの機種のエレベーターにするかの検討になります。

以降の進行について、設計事務所に詳細打合わせをすべて委託するか、直接、エレベーターメーカーに問い合わせて希望のエレベーター仕様を確定して建築の設計図面とエレベーターの設計施工図をFIXさせて、行政確認、建築申請と昇降機申請をそれぞれ管理しながら、エレベーター設置する為の建築付帯工事であるエレベーター昇降路の施工を担当する建築会社の業者選定、見積検討し発注し、エレベーター会社も同様に発注し、以降の詳細な工程管理、打ち合わせについても建築士事務所と建設会社の契約によってかなり差がありますが、エレベーターの仕様決定、図面承認からエレベーター会社が実際の機器の製作を開始するので、その間に昇降路の築造を建設会社と工程を詰めて昇降機申請、エレベーター着工し、据付が完了した後、建築の壁、床、天井など仕上げ工事後、完了検査を受け、検査済証が発行されれば、そこで工事完了、引き渡しとなります。

建築、エレベーターの技術的な知識と確認申請等の法的知識が必要

既存建物にエレベーターを新規増設する場合、二つの選択肢があります。

まず、建物の外側にエレベーター昇降路を増築させて乗場から既存建物内へ渡す方法と、各階の床をエレベーター昇降路分の面積をくり貫いて建物内に設置する方法です。

どちらも一長一短あるのですが、まず、既存建物外側に新規増設する場合は、建物敷地内にエレベーター棟を設置しても余裕のある建蔽率と容積率なのか?エレベーター棟設置するには、エレベーター機器周辺の必要最小寸法に昇降路四隅に柱を立てなければなりません。地盤の関係によっては杭が必要となるケースもありますので合わせて構造的な検討も必要となります。

建物内側に床をくり貫いての場合については、建物床といった主要構造部の荷重計算が問題ないレベルなのかの検証が必要となります。そこにエレベーターの垂直と並行荷重が重なり場合によっては構造補強も必要になるのではないかと推測されます。そうなると想定以上のコスト増の可能性があるので建物構造の検証が重要な要素となります。

以上にように、エレベーター技術、建築取り合い、工程、施行関係、建築基準法 法的知識が必要なので、エレベーターを単独で設置するだけなのに、ほぼ新築工事と変わらない多方面の分野、業種に関係しての規模となります。

各分野それぞれの適材適所に必要な業務を依頼して管理進行するのは、全体的な知識をもっていないと難しいと思われます。

エレベーターマネージメントでは、そういった従来では検討しずらい、進行しにくい、手順そのものが不明等そのケースに応じた解決策を見出して助言、サポートしたいと考えています。

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