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保守(メンテナンス)

エレベーターの長期修繕計画書について

2024年7月20日

2024 07 20

マンション計画修繕工事とエレベーターリニューアル工事

大手管理会社のフロント担当者のほとんどは国交省が発行している「長期修繕計画標準様式・作成ガイドライン活用の手引き」に則って記載通りの時期に該当する項目の修繕工事を提案してきます。大規模修繕工事なら  12~15年、給水ポンプなら14~18年、機械式駐車場があれば   18~22年と総戸数・規模によりますが、ほぼマニュアル通りにその年数の時期になれば、必ず実施しなければならないといった勢いで理事会議題に加えます。

エレベーターリニューアル工事も例外ではなく、26~30年で大型改修工事となっているので他設備同様、実施に向けた議事進行となり、管理会社主導で進められていくのか、理事長中心に修繕委員発足し管理組合で業者選定し工事完了まで担っていくのか分かれるところです。

国交省や業界団体も概ね25年から35年にリニューアル工事の実施を推奨していますが、ほぼ各エレベーターメーカーの部品供給期間もそれらに沿った期限を自社ホームページに公表しています。

ですので、リニューアル時期の大きな理由、根拠はメーカーのホームページ公表している保守部品供給終了案内と捉えマンション長期修繕計画に予算計上する事が重要と言えます。

エレベーターの長期保全計画

エレベーター設備についての長期修繕計画表を見られた事はありますか?

エレベーター機器の部品点数なんて数万点と言えます。それをある程度主要な部位に纏めて、部品名毎に標準耐用年数、部品単価を周期表に落とし込まれ、ある年度にいくら費用が発生するかが、分かるようになっています。長期間で25年、中長期で10~15年、短期で5年で見るといかにエレベーターが点検料金以外にも累積すれば部品コストがかかるかを実感する事ができるでしょう。

あくまで保守契約形態のPOG契約(部品代は別途)の場合は大いに参考となる管理資料になるので、現在の契約先の保守会社に問い合わせてみてください。フルメンテナンス契約(部品代込み)の場合はお任せとなるので必要ありませんが、交換を実施した履歴はあるタイミングで要望される事をお勧めします。

エレベーター長期保全計画の活用

この表の一番の目的はこれから先、何年後にいくらの費用が発生しその累積金額はおおよそいくらになるのか、リニューアル工事が控えているならそのリニューアル工事までの間、どんな部品の交換が必要でリニューアル工事に含まれない部品の確認と含まれる工事ならリニューアル工事まで耐用できるのかを判断する事です。

例えば、ワイヤーロープの交換工事を2年後に計画されていて5~10年未満の間にリニューアル工事の計画なら、どうにかリニューアル工事までそのワイヤーロープの耐用は難しいのか?等効率的にかつ安全性を保つ為の判断が必要になってきます。

各社のリニューアル工事の標準仕様範囲はほぼ似通っていますが、ドア関係はそのエレベーター機種の年代、構造形式、スイッチ仕様により様々で市場に流通している汎用品か、メーカー純正品しか出回っていないタイプなのか、古すぎて調達が難しい等と劣化具合を判断する必要があるので、よくよく点検担当に状態のヒアリングを掛けることが重要となります。

生産終了となる制御基板については、点検目視でその劣化状態を判断する事は難しいので、ある程度の利用環境、標準耐用年数を勘案するのと発注してからの最新納期情報を確認する必要があります。

エレベーターの動力を担う巻上機については、設置経過年数が比較的浅い20年~25年なら既設流用し制御盤等の電気関係のみのリニューアルに留めるのも選択肢の一つでしょう。しかしながら巻上機も将来的には交換する時期が到来するので、15~20年後に巻上機交換工事を想定しなければなりません。

30年以上経過したエレベーターなら制御盤と巻上機を同時に交換する制御リニューアルをお勧めします。

巻上機を流用して制御盤だけを交換する仕様は既設設置のメーカーでは対応可能ですが、独立系保守会社では対応可能会社は分かれます。

年数が経過しているなら、広く選択肢が得られる制御盤と巻上機を仕様に加えた制御リニューアルで検討する事を推奨します。

エレベーター長期保全計画表のチェックポイント

具体的な活用法としては、管理会社あるいはマンション修繕コンサルタントに長期修繕計画書の作成時のタイミングに保守会社へ将来的な検討のためにエレベーターリニューアル工事見積もりと合わせて現状に則したエレベーター修繕計画表の作成を依頼します。

現状に則したと言うのは標準的な部品の耐用年数が記載されているだけの社内マニュアルのようなものではなく、現状の保守点検を通じて状態が反映している計画表である必要があります。

それには、少なくとも最新の保守点検作業報告書に記載されている劣化が見られる交換推奨部位とその部位に対して発注検討する為の見積書の内容がこの1、2年に表に金額と合わせて反映できているかです。

この3つの内容がバラバラな内容では信憑性が薄く検討が2度手間になりますので、この点をご注意ください。

次は部品供給終了時期が明確な場合はその間の計画部品はリニューアル工事範囲との照合した上で必要な交換については予算計上し概算でリニューアル工事金額を全体の長期修繕計画に盛り込むように管理会社、修繕コンサルタントに指示すればかなり精度の高い長期修繕計画書が完成します。

有益かつ効率的な専門家の活用

このようなエレベーターの最深部に渡る計画表の手配、入手、管理は管理会社やマンション修繕コンサルタントでも難しいと思われます。

エレベーターの保守に関わる現場経験、細かい保守部品の耐用周期、交換時期とそれぞれの部品の関連性と想定、予測と予算配分をバランスよく計画年度に組み込む経験則等、エレベーターに関する相応の知識と経験とマンション管理全体を見渡せる総合的な判断力が求められます。

エレベーターマネージメントはそういったご期待に応えられる存在である為に発足し、皆様のご要望に応えていきたいと日々精進しております。


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