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リニューアル 相談事例

エレベーター不具合事例 トラブルシューティング①

2024年8月13日

2024 08 13

メーカー系施工会社と独立系保守会社の製品保証に関する事例

30年程前の新築現場では完成引き渡し後数か月の不具合故障は部品の初期不良によるものとして、ある程度の頻度で起こる事が一般的に認識されていました。建設会社から引き渡しを受けると、必ず設置されたエレベーター会社を紹介され保守契約の説明を受けます。そこでフルメンテナンス契約、POG契約のそれぞれの契約内容の説明を受け、保守見積を提示されるのですが、その場ではそれが高いのか安いのか、どちらの契約形態がいいのか等分からないまま、3か月後にどちらかを選択して契約を締結する事になるのですが、その3か月というのが無償のアフターメンテナンス期間として設定され、現在もどの国内メーカーについても同じ慣習となっています。

その3か月間の無償アフター期間の対応を経て、晴れて有償保守契約に移行する流れとなるのですが、製品保証は別の観点であり1年間と設定されています。

引き渡し時に必ず、メーカーから保証書を受け取りますが、通常の使用方法での損傷、不具合発生については期間内に、無償対応を受ける事ができるので、無償保守も製品保証も受けるサービス内容として同等と考えていいのですが、引渡しから4か月目には有償保守契約が開始、月額料金が発生し、定期的な点検が実施されます。13か月目には製品保証期限が切れますので、もし通常の使用での不具合、損傷でも理屈では有償対応となりますが、社会通念上、1,2年そこそこで、部品が壊れてその部品代請求とは受け入れられないので、その場合は故障原因について説明を要求して無償での対応とならないのかと要請すれば、よほどの事が無い限り受け入れてくれるはずです。

しかしながら、その製品保証が受けられる、受けられないでトラブルとなるケースがあります。

無償アフターメンテナンス終了後すぐに、設置した施工会社:メーカー以外の保守会社と保守契約を締結した場合です。

メーカーが発行した保証内容には「当社の勝手なく、当社以外により機器に改造、手を加えての作業が起因しての不具合は保証対象外となります。」と記載されており、製品保証期間内にもし不具合が発生しても、それが、初期不良なのか、そのメーカー外の保守会社のなんらかの整備の瑕疵によるものなのかを判別するのは至難の業です。双方どちらも自社の正当性を主張する事になり、決着するのに長期化となれば、停止故障であればその間エレベーターが利用できません。こうなれば所有者、消費者が大変な不利益を被ってしまうので慎重に判断するべき事項として取り扱ってください。

このような事例は新築に限った事ではなく、リニューアル工事にも該当するので今回、紹介する事にしました。今までの経験ではリニューアル工事を施工した会社がその後の保守契約を締結するのが殆どなのですが、稀に保守契約は独立系保守会社に委託し、リニューアル工事はメーカーに施工、工事完了後は先の独立系保守会社に継続させるといった管理組合が

ありました。やはり些細な事で、責任の所在について管理組合、管理会社、メーカー系工事施工会社、独立系保守会社で議論されました。

エレベーターの機能、動きについての症状では無かったのでそれほど大きな問題には発展しませんでしたが、これが停止故障を伴うものであれば紛糾は必至だと思われます。

リニューアル工事後の初期不良トラブル事例

最近では滅多に初期不良での不具合は聞かれなくなりましたが、現実的にはやはり存在しています。

こういった情報は当事者以外では、なかなか入手できませんので貴重な参考事例として紹介します。

築25年の分譲マンションで大手メーカー製のエレベーターを5年ほど前からある独立系保守会社へ保守契約を切り替え、部品供給終了期と消耗品等の経年劣化した保全部品提案の検討するタイミングで、制御リニューアルを実施する決議が成立し、工事発注から約7か月後に着工し、工事完了しました。

着工から工事完了まで約2週間と少し余裕のある工事期間でしたが、期間中は特にトラブルなく、予定通り順調に工事は進行している様子でした。

完了から1.5か月ほど経過した頃にある住民から「扉が開閉を繰り返している時があった」と通報を受けて技術員を現地に派遣して確認しましたが、到着時は正常で、2時間ほど症状が再発しないか確認を続けましたが再現せず、ドア関係のスイッチの位置が若干ズレていた状況だったので位置調整を施し、処置を完了しました。

それから、半月後、住民から「エレベーターが着床時に振動して、動かなくなった」と通報、現地へ技術員手配、原因究明作業開始し、メンテナンス用コントローラー端末を接続してのエラーコードデータの収集、解析からの原因究明、調査作業となりました。

エラーコードナンバーからは電気的な異常によるものと表示され、制御盤内のインバーターによる不具合と特定に至りました。

しかし、そのインバーターを工場から取り寄せるのに2日間を要する事となりその間、エレベーター利用停止となってしまった事で住民、管理組合で大きな問題となりました。

緊急配送の体制をしき、1日間でインバーターを取り寄せ復旧しましたが、なぜ、完成から2か月で不具合発生となったのか、取り外した不具合品を専門の品質管理機関を経て、製造工場での解析詳細調査の結果を見てからとなりますが、エレベーター保守、リニューアル工事施工会社と管理組合との信用、信頼回復には明確かつ誠意ある丁寧な説明対応が当然のごとく求められるでしょう。

この事例は、リニューアル施工会社とその後の保守契約委託会社は同一なのですが、どのような原因にせよ、保守会社と施工会社が異なれば、必ず不具合の特定に時間がかかってしまい、1,2日間の停止では済まなくなる可能性は非常に高いと言えます。

安全性、品質とコストとのバランスが重要

エレベーターマネージメントはコスト削減を第一に優先するコンサルティングは推奨していません。安全と品質は何よりも最優先しなければならないと私の実体験から身に染みて実感しているからです。

業者選定のコンサルティング料金についても削減率に応じた歩合制ではなく一律、1台30万円(税別)としているのはその為です。

あらゆる角度、観点からエレベーターリニューアルの相談、その他問題解決に向けて取り組みますので、どうかお気軽にお問合せください。


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