
工事契約から着工までと工事期間中の仮設、施工計画
施工業者が決定したら、まず材料手配と作業人員の確保が必要なので、業者から工事契約書、工事注文書の締結、発注を促されます。
数年前までは、材料製作が一番期間を要するので、その中でもまずは巻上機、制御盤製作を最優先で社内手配をかけて、その後に現場のエレベーターを専門技術員が詳細調査に3~7時間かけてエレベーター昇降路、地下ピット、エレベーター機械室をくまなく調査します。
現状どういった部品がどの位置に設置されているのか、写真と専用の調査シートに大きさや位置寸法を記入していくのでそれなりの時間を要するのですが、その間はエレベーターを停止しなければなりませんので、事前に共用部掲示板などに告知しなければなりません。業者によってそのタイミングが違いますが、専有部リフォーム工事や引っ越し、大型家具の搬出入に被らないように最低、1週間前、出来れば2週間前の期間を告知期間に充てるのが無難です。
その旨、業者には伝えて日程の提示と貼紙案内文書作成を依頼しましょう。この調査で工事のある程度の具体的な施工計画が分かるようになります。
まず、契約前では〇月頃だったのが、〇月第〇週目から〇日間の工事期間になる、その間はエレベーターの使用はできないので、この時点で共用掲示板に告知をする事をお勧めします。数か月前、場合によっては1年先かもしれませんが、利用者によってはエレベーターが利用できない期間を旅行の計画を立てたり、親戚家族に泊まりに行く約束をしたり、デイサービスの長期宿泊利用の予約など各々自己責任での検討をされます。
具体的な施工計画として、一番重要で影響の大きい着工初日の搬入、搬出計画について具体的な内容の説明があります。
これも業者によってやり方が分かれますが、搬入を一気に大型クレーン車で屋上機械室まで楊重搬入する手法か、既設エレベーターで最上階まで材料を次々に運び入れ、最上階階段から屋上階まで、屋上階からエレベーター機械室までとおおよそ、最上階フロアから2階床分を人力で上げなければなりません。その為、階段室に重量物を吊り上げる門型の仮設柱を設置し、チェンブロックでゆっくりゆっくりと門型柱に吊り込んで引っ張りながら、巻上機を上へ上へ渡しながら階段を上って運んでいきます。
ちなみに6,9人乗りのエレベーターの巻上機でも400~500kgの重量があるので細心の注意による安全作業、周囲の養生は徹底されなければなりません。普段は立ち入らない箇所ですが、よく周辺の壁や床に機材をぶつけたり、屋上の水道配管に穴を開けて水浸しにしたり、機材の大きさの検証不足から階段手摺を一部カットしなければ通過できない等、トラブルが多く発生します。
材料搬入後はエレベーター周辺に新規材料と廃棄材料を期間中保管するスペース(ストックヤード)について、事前に打ち合わせする必要があります。
業者から提示がありますが、その位置と広さによって各現場によって期間中は住民告知を事前に周知する事が重要です。
主には玄関口から1階エレベーター乗場周辺部、最上階乗場周辺部から屋上階エレベーター機械室までの階段部や廊下、屋上部に廃材置き場等が多いのですが共用部廊下に廃材や重量機器を置く際は床、壁にべニア板、ブルーシート等の養生材をきちんとセッティングされているか、立入禁止区域であることが分かるように安全策、カラーコーンは設置されているかの確認は必要です。
小さいお子様が機材に手を触れて油で汚れてしまったといった話もありますので細かい事でもその旨、業者に要請、確認するようにしましょう。
マンション前面道路やその敷地内玄関前周辺で、クレーン作業での搬入楊重作業の際は、住民の通行への安全誘導や車両通行、駐車車両についての事前打ち合わせ、告知が必要な場合があります。敷地外での道路使用許可によるクレーン作業の際はマンション内のみならず、周辺近隣への告知案内についても問題なかったか業者に確認しておいた方がいいでしょう。
こういった事が工事開始から完了引渡の間に進行していきます。いくら、共用部掲示板に掲示したり、集合ポストに各戸ポスティングしてもなかなか周知、理解される事は難しいでしょう。やはり工事着工の1,2か月前のタイミングで住民説明を開くのがいろいろな意味で無難ではないかと思います。
説明会をしてもそれほど集まらなかったとしても、管理組合としては告知活動として手は尽くしたと言えるので、前もって業者に依頼する事をお勧めします。
中には、そもそも住民説明会で初めてエレベーター工事が行われてその期間エレベーターが使えない、と初めて知ったという住民様がいらっしゃった事もありました。エレベーターが使えない事についての申し立ても中にはあるかもしれませんが、そういったお話を聞き、しかしながらこのエレベーター工事は必要な事なのでどうしても理解をしてほしいと説明を尽くす姿勢を示すことが重要だと思います。
エレベーター施工会社との意思疎通、コミュニケーションが重要
最近では大手の独立系保守会社や中小の保守会社でもリニューアル工事は一般的に普及していますが、以前はメーカー系の独占市場でした。しかしながら、営業段階から契約、発注した以降のステップは工事に向けての段取り、打合せ、進捗管理といったより細かく、早い目に計画通りに工程通りに進捗管理していかなくてはなりません。管理会社やエレベーター施工会社が滞りなく進行すれば組合として何の心配、負担なく引渡を迎えればいいのですが、管理組合主導で業者選定まで行ったはいいが、その後の監理が分からないのでできない、宙ブラリンになってしまってトラブルとなるケースがあり、管理会社や施工会社とのギャップ、溝となってしまう例を何回か見てきました。
エレベーターマネージメントは業者選定コンサルを基本契約としてますが、業者決定後の施工監理についてもオプションでコンサル業務として請け負うような設定を見積バリエーションとして加えています。
この工事進捗監理がそれなりの工事の実績経験を積まなくてはできない内容なので、管理組合だけでは難しいと思います。
ぜひ、エレベーターマネージメントまでお問い合わせください。

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