
2回目の制御リニューアル工事か?撤去新設か?
一般的に築25~35年を迎えた頃に保守部品の生産が終了するタイミングで制御関係(制御盤、電動機、電気ケーブル、各操作盤、各種スイッチ、センサー類等)を交換する必要性に迫られ、合わせて動力系の巻上機もセットで交換対象にするかしないかを機器の状況、保守会社の提案状況と予算との兼ね合いで審議検討するのですが、現在築50年を経過し20数年前に1度制御リニューアルを実施し、制御盤内の基板が生産終了を迎え再度リニューアル工事の検討を打診された際に、どこまでの範囲、交換対象とし現状の機器の状況と修繕積立金予算を勘案し検討を進めていくかの選択肢に、まず間違いなく言える事は、先の制御リニューアル工事に巻上機を交換せずに、制御盤などの電気関係のみだった場合は、すでに50年経過した巻上機の交換は制御盤と一緒に交換対象となります。
前回の巻上機を既存流用した工事実績金額より恐らく、2倍以上の予算が必要となります。
そこで、この際かご室内も交換した方がいいのではないか?天井照明のデザインも50年前と今では見た目にしても違いますし、長年の利用状況からのかご骨組、構造材の歪からパネルとパネルとのつなぎ目に隙間が生じていたり、台車や自転車などでのブツケからの凹み、床の立ち上がりから壁面巾木の腐食だったりと皆様が利用される際に、一番目に付く箇所なので要望が出たりします。
かごの歪が確認されたとすると、かごフレーム毎交換となると、新設同様確認申請の対象となり一気に検討対象の考え方、進め方の転換が必要となります。
その場合の選択肢として、撤去新設、完全入替工事といったバリエーションについて、今回ご紹介したいと思います。
実は、現在コンサルティングさせてもらっている築55年の管理組合様でメーカー系、独立系保守会社と広く、エレベーター会社から見積検討を進め、その内の既設設置メーカー以外のメーカー系保守会社からの提案である、撤去新設完全入替工事が最終選考の段に上がっている事例もあるので、高経年マンションの2回目リニューアル検討の管理組合様の参考になるのではないかと思います。
↓2回目のエレベーターリニューアルについての過去投稿ブログ
築50年経過 2回目のエレベーターリニューアル工事 – ブログ | エレベーターマネージメント
撤去新設の概要について
一番の違いはやはり金額と、それに伴ってメーカー系のみの対応となるので、比較検討ベースがメーカー系保守会社になります。
独立系保守会社は油圧エレベーターのリニューアルもそうですが、確認申請を伴う入替新規設置工事は積極的ではありません。
従って、制御リニューアルなら7,8階建てのエレベーターでメーカー系保守会社なら、1台1500万円~程度として、撤去新設なら3000万円~2500万円くらいと想定されます。
すべての部材、機器が一式に解体撤去代も必要なのでおよそ倍くらいと言えます。
工事範囲、物自体も違うので金額が高いからデメリットと言うのは少し違う気がしますが、修繕積立金の予算編成として大きなウェイトを占めるのは間違いありません。
工期に関しても制御リニューアルでは1週間から10日程度に対して撤去新設では1か月半~2か月程度と見ていいでしょう。
材料置き場のストックヤードは1階乗場の相当なスペースが必要ですし、作業中の安全確保から区画された出入口扉付きのパーテーションボード工事用仮囲いが必要となります。
エレベーター乗場廻りの材料置き場と作業スペースについて入念な仮説計画を協議打合せの上、進行する事になります。
倍の価格差がありながらも、撤去新設を照準にあてたいとする理由、メリットは現在の法律基準に則った安全装置、仕様を満たしている点です。既存不適格はすべて解消され、戸開走行保護装置、地震管制対策、14耐震基準に準拠したレール、マシンビーム、カウンターとフレーム、昇降路内の鋼材機器の取り付けに関するブラケット類等、快適性はもちろん、安全に関する信頼性、安心感は管理の責任を負う立場からすると金額以上の満足度があると思います。
各マンション管理組合の予算状況、その時の役員メンバーの考え方、マンションの総戸数規模、エレベーター以外の設備や大規模修繕工事計画時期やその長期修繕計画等幾重にも重ねての検討と将来的な管理に関する構想等、一括りにはできない選択かと思いますが、もし、撤去新設も選択肢として取り入れようというならば、まず必要なのは、竣工当時の昇降機の確認申請の副本です。
これは、管理人室や集会室の書庫等に俯保管されているはずなのでその存在確認が必要です。もし、どうしても確認できなければ、管轄行政庁の建築指導課、建築審査課で建物概要書から閲覧申請して、そこから昇降機の台帳を捜索、確認申請から確認済証、検査済証の番号、取得日を入手してください。
行政によっては、記載事項証明書といって、前述した内容が記載した台帳を発行してもらえますので問い合わせてみて下さい。
新規設置となるので、恐らく、そういった証明書関係書類がないとエレベーター会社も工事に応じない可能性がありますので必須書類となります。
*以前投稿した既存建物に新規設置する場合の内容紹介です。参考にしてください↓
既存建物にエレベーターの新規設置を検討されている方へ – ブログ | エレベーターマネージメント
撤去新設は難易度が高い検討作業。専門家を交えた進行が必要
まず、制御リニューアルか、撤去新設かの選択判断から、それぞれの内容と予算と見積業者からの提案内容を区分けしてどちらをウェイトに置いた検討をしていくか?撤去新設なら対応可能な見積業者がどこで、何社か?見積条件、提案内容、予算、着工時期、工期、その他建築に付帯する工事(乗場三方枠廻り、床敷居、天井の壁、床仕上げ工事や、電気工事、防火区画と火災信号線有無について等)とても、管理組合、管理会社だけでは協議が難しいと思われます。
エレベーター、建築、設備、区分所有法、管理規約、建築基準法、仮設関係、行政確認等、広範囲多方面に及ぶ業務になるのでそれぞれを結ぶコーディネーター的な役割が要となって進める事が一番重要かと思われます。
まずは、本格的な検討に入る間にお問い合わせください。
方向性の確立、協議検討発足のきっかけにもなるのではと思いますのでお気軽に問い合わせフォーム送信ください。
初回相談、現地調査訪問は無料(近畿2府4県に限ります)