補助対象のエレベーターはかなり限定的な制約と問題点が存在する
物価上昇の波がこのエレベーターリニューアル業界にもかなり見られるようになりました。7,8年間にメーカーの部品供給停止の発表直後に出された見積をベースに、やっと予算を確保できたので再度見積依頼をしたところ、2.5倍の見積金額の提示があったとある賃貸マンションオーナー様からお聞きしました。
賃貸マンションの収益構造は毎月決まった額の定期的な家賃収入であり、まとまった額の大型工事を実施するには前もって計画的に積立をするか、銀行に借り入れをするしかありません。
これでは、いつまでたっても実施ができないと嘆いておられました。
あるメーカー系保守会社では、工事を5年以内で分割して1回の支出を抑える事ができる工事プランを設定していますので、これなら検討しやすくなったのではないかと思います。
しかしながら、大多数の賃貸マンションオーナー、分譲マンション管理組合にとって、エレベーターリニューアル工事は期限付きでかつ、高額で一般の方では専門的過ぎて検討しづらい改修工事と言えます。
そのような背景からか、最近行政の補助金を何とか利用する事はできないのか?といった問い合わせが増えてきています。
過去に数回、防災対策改修工事の補助金申請についてブログ紹介し、近畿圏の補助金制度実施している行政庁窓口にヒアリングもしましたが、やはりあまり活用実績は多くはない様子です。
【相談事例】エレベーター防災対策改修の補助金 活用 – ブログ | エレベーターマネージメント
【補助金の要件】エレベーター防災対策改修(耐震対策) – ブログ | エレベーターマネージメント
【補助金の要件】エレベーター防災対策改修(戸開走行保護装置) – ブログ | エレベーターマネージメント
エレベーター防災対策改修の補助金について – ブログ | エレベーターマネージメント
少しずつ、行政の方も制限が厳しいので緩和措置が必要と考えている感はしますが、現状、申請数も多くないのに検討しようにも動けないと制度そのものの存在価値が低くなる一方です。
一番の問題点は、必要要件の工事の内容が既存不適格をすべて解消する事を求められる点でしょう。
これには、現実的には既存設置したメーカーでないと対応できないと以前もブログで触れました。
既存不適格をすべて解消する事をメインの工事目的とする顧客はそれほど多くはないのと、工事金額を出来るだけ低くしたい考えで補助金を検討しているのに目的以外の工事に追加して、さらにメーカー系保守でしか対応できないとなると目的と結果が相反してしまうのです。
エレベーター防災対策改修補助金 検討・利用マニュアル 前編 – ブログ | エレベーターマネージメント
エレベーター防災対策改修補助金 検討・利用マニュアル 後編 – ブログ | エレベーターマネージメント
現状の見積要件に補助要件を当てはめてみる
これも以前のブログで、特殊仕様のエレベーターは保守、リニューアル工事対応も業者が限定されるので注意が必要と紹介しました。
特殊・特注エレベーターのリニューアル工事検討の注意点 – ブログ | エレベーターマネージメント
その中に停止回数15階以上の高層エレベーターがあったのですが、メーカー系保守のみしか対応できないため、見積金額も高止まり傾向なのですが、少しでも金額を下げたいなら補助金を申請、採用させる事を検討されたらいかがでしょうか?
メーカー系保守会社のリニューアル提案内容は、ほぼ既存不適格解消の仕様内容です。1台当たり、1億円から安くても数千万円後半に最大でも200万円程度の補助額なので大きなインパクトはないかもしれませんが確認してみる価値はあると思います。
補助申請には、かなり難解で細かい申請書類を行政窓口とやり取りするので、メーカー系保守会社の営業担当者は率先して補助金制度を案内しません。
しかし、申請実施するのは施工業者からの書類が必要なのでこちらから先導して要請する必要があります。
一つの例が、高層エレベーターですがその他の何らかの事情で既存不適格を解消しなければならなくて、メーカー系保守からその内容で提案を受けている管理組合様、賃貸オーナー様は対象現場の管轄行政で“エレベーター防災対策補助事業“で補助金制度があるかをネットで調べる事をお勧めします。
もし、制度があって本格手に検討したいとなれば、一度私までご一報いただければ、メーカー系保守会社との間で手続きから最終金額折衝、合意形成、工事管理サポートまで一貫してお手伝いしますのでご検討ください。